芳しい匂いに誘われて、あなたがたどりついたのは、宮殿の前庭にあるバラ園でした。 肩の高さほどもある立派なバラの木に、美しい色とりどりの花が咲いています。うっとりしながら見つめているあなたの胸元に、盛りを過ぎ掛けたばかりの一輪の花が、はらはらと花びらをこぼしてきました。 そのまま地面に落としてしまうのがしのびなく、あなたはその花びら(87)をそっとポケットにしまうと、そろそろ本来の用事に戻ろうと歩き始めました。 ところがそのとたん、あなたは『聖なるスイカ』を取り落としてしまいました。幸い足下が柔らかい芝生だったので、割れはしませんでしたが、少し下り坂になっているため、スイカはどんどん遠くに転がって行きます。 そこであなたは… a 急いでスイカの後を追って走り出しました。 b 自分の運動神経をあてにするのは止めて、スイカの転がっていく方にいる通行人に助けを求めました。 |
間もなくあなたはスイカに追いつき、無事に取り戻す事ができました。 そのまま急いで庭園に向かうと、やがて、いくつかの露店と通行人たち、その周りで鬼ごっこをしている子どもたちの姿が見えてきました。 ところが、あなたがそこを通り過ぎようとした時、子どもの一人が果物屋の露店にぶつかって、棚をひっくり返してしまったのです。 幸い子どもたちに怪我は無かったらしく、すぐに大きな声で店主にあやまると、散らばった果物を、店主や通りがかりの人たちと一緒に拾い始めました。 (人手が多いから、私が手伝うほどじゃないかな…) あなたは、そう思いながら通り過ぎようとしました。 すると、血相を変えた店主が走ってきて、いきなりあなたの手からスイカを取り上げてしまったのです。 「この泥棒が! どさくさに紛れて、うちの売り物を持って行くつもりか!?」 全くの誤解なのですが、店主はかなり頭に血が上ってしまっているようです。 そこであなたは… a. 怖くて泣きそうになりながらも、これは自分が預かったスイカだと言いました。 b. 一度深呼吸して、どう説明したらいいか考えてみました。 |
あなたは泣きたくなるのを抑えて、一生懸命に「これは自分が預かったスイカだ」と答えました。 するとその様子に、店主は逆に落ち着きを取り戻して、地面に転がっているスイカを数え始めたのです。 「7、8…おや、全部あるみたいだな。すまない、とんだ勘違いをしちまったみたいだ。詫びにもならんだろうが、このキウイ(9)でも持ってってくれ」 あなたはほっとして『聖なるスイカ』とキウイを受け取ると… 急ぎ足で寮に向かいました。 |
自分の運動神経はあてにならないと思ったあなたは、先の方を歩いている人に助けを求めました。 「すみません! スイカを落としてしまったので、拾って下さい!」 幸いスイカは親切な人に拾い上げられ、無事にあなたの手元に戻ってきました。 さて、そろそろ本来の用事に戻った方が良さそうです。 急ぎ足で庭園に向かったあなたは、緑の木々に色とりどりの花壇、いくつもの露店の間を通り過ぎようとして、ふと視界の隅に何か黒いものをとらえました。 気にしてはいけないと思いながらよく見ると、黒く長い髪に黒く長い衣を纏った男性が、大きな木の根元で熟睡しているようです。 温暖で病気のない聖地とは言え、風邪くらいはひいてしまうかもしれません。 心配になって近づくと、その人のものらしい黒く大きなストールが、寝返りのはずみで落ちたのか、体の横でくしゃくしゃに丸まっています。 そこであなたは… a そっとストールを持ち上げると、その人に掛けてあげました。 b その人を起こしてあげる事にしました。 |
ストールが掛けてあれば、とりあえず風邪をひく事はないでしょう。何も気づかず眠り続けているその人を後に、あなたは… 『寮』に急ぎました。 |
その人を起こそうと、あなたは優しく声をかけてみました。 「あの、そんな所で寝ていると、風邪をひきますよ」 しかし、全く起きる気配はありません。 そこであなたは… a もう一度静かに声を掛けながら、優しく肩を叩いてみました b 耳元で「火事だーっ!!」と大声をあげてみました。 |
すると、その人の切れ長の瞼が持ち上がり、美しいすみれ色の瞳が現れました。 「リュミ……ではないな。何者だ」 「いえその、私はただの、通りすがりのスイカ持ちで…」 色は綺麗ながら、どこか不機嫌そうな相手の眼差しに、あなたはしどろもどろの答を返すと… 逃げるように寮に走っていきました。 |
すると、その人の切れ長の瞼が持ち上がり、すみれ色の瞳がじろっとこちらを睨み付けました。 「…火事だと?」 「いえその、風邪をひいたらいけないと思って、起こすためについ…」 内心怯えながらも、あなたは平静を装って答えました。 するとその人は、こちらを無視して立ち上がり、ストールを拾い上げると、何処へともなく去ってしまったのです。 そこであなたも、急いで寮に向かいました。 |